熊本県社会福祉事業団の目的(定款に記載)

 この社会福祉法人は、多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるように創意工夫することにより、利用者が、個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として、社会福祉事業を行う(社会福祉法人熊本県社会福祉事業団定款第1条)。

基本理念

 私たちは、誰もが自分らしい生き方ができるよう、人格と個性を尊重し、ともに支え合う豊かな社会の実現を目指します。

経営方針及び重点施策

  わたしたちは、基本理念を実現するための経営に関する基本的な方向性を、①利用者、②サービス、 ③地域・社会、④法人・施設及び⑤人材の視点から定めています。この経営方針に沿って重点的に取り組むべき項目を重点施策として掲げることで、全ての職員が同じ方向に向きながらそれぞれの役割を担い、利用者の幸せと地域福祉の向上に貢献するという思い(意識)を育みます。

利用者の視点


(利用者の視点)
 Ⅰ 利用者に寄り添い自分らしい生き方ができるよう応援します
利用者や利用する児童(以下「利用児」という。)が、かけがえのない個人としてその人格と個性が尊重され、自己決定と自己選択による利用者本位のサービスにより、ライフステージに応じ安全で安心して自分らしい日常生活を送ることができるよう支援します。

 重点施策
(1)利用者の人権・権利擁護の取組を徹底します
 利用者の自己決定と選択を尊重し、その権利の擁護に努めるとともに、個人の尊厳に配慮した良質で安心・安全なサービスの提供に努めます。
・研修、成年後見制度、意思決定支援、「虐待防止と対応マニュアル」の見直し等

(2)利用者のQOLの向上に努めます
 利用者や利用児とその家族が、喜びや楽しさを実感できるような生活や活動の場づくりに努めます。
・スポーツ・文化活動、余暇活動、生活環境の整備、満足度調査等

(3)利用者の地域生活を支援します
 地域生活への移行を希望する利用者の要望に応じて、生活環境の整備や支援体制等について関係機関等との連携により、その実現に向けた支援を行います。また、通所の利用者や利用児とその保護者のQOLの向上のための相談体制の充実に努めるとともに、グループホームの整備について検討を行います。
・生活環境の整備、子育て相談、グループホームの整備等

サービスの視点

(サービスの視点)
 Ⅱ サービスの検証と向上に努め期待されるサービスを提供します
利用者や利用児とその家族が安心して日常生活が送れるよう、常に提供するサービスの検証と質の向上に努めます。また、災害や感染症が発生しても、可能な限りサービスが提供できるように、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や災害時の対応マニュアルを常に見直すとともに定期的な訓練を実施します。

 重点施策
(1)利用者の満足度調査や第三者評価の受審等によるサービスの質の向上に努めます
 提供するサービスについて日々の振り返りにより質の向上を図るとともに、利用者アンケートによる満足度調査を行います。また、第三者評価の受審による外部の客観的な評価を基に、サービスの質の向上に努めます。
・満足度調査、自己点検、第三者評価等

(2)職員の専門的な知識と技術の向上に努めます
 職務を通じての研修(OJT(On The Job Training))、職務を離れての研修(Off-JT(OffThe Job Training))及び自己啓発(SD(SelfDevelopment))による専門的な知識と技術の向上を図ります。また、引き続き、国家資格等の取得に係る費用の助成を行うとともに、制度の利用について促していきます。
・研修の充実、資格取得の支援、実践報告や実務研究の推奨等

(3)リスクマネジメント体制の強化を図り、安定したサービスの提供に努めます
 災害や感染症の蔓延等の非常事態に備えて、事業継続計画(BCP)の策定や必要に応じて対応マニュアルの見直しを行うとともに、定期的に図上訓練を実施します。これにより、非常事態の際の利用者へのサービス提供や収入への影響が可能な限り低減するよう努めます。
・事業継続計画(BCP)の策定、災害等対応マニュアルの見直し、情報管理規程の策定・運用等

(4)介護支援機器やICTの導入を図りサービスの向上に努めます
 介護支援機器の導入により、利用者と職員の負担軽減を図ります。また、ICT等の導入により業務の効率化を図ることでサービスの向上に努めます。
・介護ロボットの導入、インカムの導入、福祉・介護総合システムの導入等

地域・社会の視点

(地域・社会の視点)
 Ⅲ 必要とされる福祉サービス等の提供を通して地域社会に貢献します事業団が有するノウハウや施設の機能を地域に開放するとともに、地域の人々との交流等を通して認知度を高め、地域から信頼され頼りにされる存在になるよう努めます。また、熊本県や熊本市からの事業の受託や、関係団体・事業所等との連携により、地域福祉の向上に貢献していきます。

 重点施策
(1)地域における公益的な取組の充実を図ります
 社会福祉法人の使命である地域における公益的な取組の充実を図るために、地域の関係機関や団体等との交流を通して地域のニーズを把握し、必要とされる取組を検討します。
・既存事業の充実、生活困窮者レスキュー事業への参画、新規事業の検討等

(2)関係機関との協働・連携により地域福祉に貢献します
 事業団が有する機能(人材・ノウハウ・設備等)を活用する事業を積極的に受託することなどにより、地域福祉の向上に貢献していきます。
・東区機能強化事業、聴覚障害児中核機能支援事業(新規)、保育所等訪問支援、相談支援

(3)福祉避難所等の地域における防災拠点としての機能充実を図ります
 平成28年の熊本地震の際の避難所運営のノウハウや施設・設備、日赤や県立大学に隣接するという地の利を活かして、地域における防災拠点としての機能・役割を高めていきます。
・災害等対応マニュアルの見直し、対応訓練の実施等

法人・施設の視点

(法人・施設の視点)
 Ⅳ 将来にわたって健全で安定した経営基盤の強化に努めます将来にわたって安定的な経営を維持していくために、組織のガバナンスの強化とともに、安定した収入(利用者)の確保と業務の効率化や職員のコスト意識の向上等による財政基盤の強化を図ります。また、第3期施設・設備整備計画に基づき老朽化した建物の改修や設備の更新等を計画的に進めるとともに、社会福祉充実計画に基づく施設整備を着実に実施します。

 重点施策
(1)ガバナンスの保持に努めます
 法令・関係通知や事業団の各種規程のみならず、利用契約や業務マニュアル(手順書)等も含めたコンプライアンスの徹底、経営情報等の積極的な開示による経営の透明性の確保など、ガバナンスの保持・強化を図ります。
・コンプライアンスの徹底、総務(経理)マニュアルの作成、経営情報の積極的開示

(2)黒字の確保等経営基盤の強化に努めます
 利用者の確保、指定管理や各種事業の受託及び新しい事業展開等による収入の確保に努めるとともに業務の効率化や経費の削減等による費用の縮減に努め、黒字を確保し、財政基盤の強化を図ります。
・収入(利用者)の確保、経費の削減、指定管理や各種事業の受託、未来志向の事業展開【新しい事業の展開】(経営の多角化、多機能化、他法人との連携)

(3)計画的な人材の確保・育成に努めます(具体的な内容はⅤの人材に係る経営方針に記載)
 人材は、法人の経営資源のうちでも最も重要な資源であり、優秀な人材を確保し、育て、やりがいを持って長く働いてもらうことが、継続的な経営のためには何よりも重要です。そのために、事業の維持・展開に伴う人員を計画的に確保するとともに、将来の法人・施設経営の中核となる人材の確保・育成に努めます(正職員比率3割を当面の目標とします)。

(4)第3期施設・設備整備計画や社会福祉充実計画に基づく計画的な施設・設備整備に努めます
 利用者の生活環境の向上や職員の働きやすい職場環境づくりのために、第3期施設・設備整備計画や社会福祉充実計画に基づく施設整備を進めます。

(5)積極的な情報発信に努めます法人・施設の情報を積極的に発信することで認知度を高めるとともに、関係機関や地域からの信頼向上に努めます。また、令和7年に法人設立から50年を迎えることから、記念行事の開催や記念誌の編纂等について、横断的なプロジェクトチームを設置するなどして検討を行います。
・50周年記念事業、HPの充実

人材の視点

(人材の視点)
 Ⅴ 高い専門性と豊かな人間性を備えた人材の育成・定着に努めます専門的な知識・技術に加えて、高い倫理観、深い人間観を持った職員を育成するとともに、働きやすい職場環境の整備を進め、職員の定着に努めます。

 重点施策
(1)計画的な職員採用に努めます
 Ⅳの法人・施設に係る経営方針の重点施策(3)に記載のとおりです。

(2)人材確保・育成等に関する基本方針に基づき人材の育成・定着を図ります
 令和2年3月に策定した基本方針に基づき人材の確保、育成及び定着を図るとともに、キャリアパスを確立し現在運用している人事評価と合わせた人事システムを構築し職員に公表することで、モチベーションの維持・向上を図ります。
・計画的な人材の確保、計画的な人材育成、人事評価、キャリアパス

(3)職員の知識・専門性の向上を図ります
 Ⅱのサービスに係る経営方針の重点施策(2)のとおりです。
・資格取得支援制度の充実、実践報告や実務研究の推奨等

(4)働きやすい職場環境の整備に努めます
 介護支援機器の導入やICTの活用による業務の効率化等により職員の負担軽減を図ります。また、ハラスメントのない職場づくりに努めるとともに、職員のメンタルチェックの実施や嘱託産業医の導入等による職員の健康管理・相談体制の充実を図ります。さらに、病気や傷害等の療養のために休業した職員が可能な限り引き続き就業できるよう、職場に復帰するための支援制度を設けます。
・介護支援機器による負担の軽減、ICTの活用による業務の効率化、健康管理体制の充実、ハラスメント研修、傷病後の職場復帰支援制度6 各施設の方向性

(1)熊本県身体障害者福祉センター
 平成30年度から令和4年度まで熊本県から指定管理者に指定され管理・運営を受託していますが、引き続き指定されるようサービスの向上に努め利用者の増加を図ります。また、熊本県や熊本市から障がい者スポーツ大会の開催事業を受託している事業団事務局事業課や障がい者のスポーツ・文化の振興を担っている熊本県スポーツ・文化協会事務局と相互に協力・連携しながら、障がい者のスポーツ・文化活動への参加を支援していきます。
・指定管理者の指定に向けた取組、地域に開かれた・地域と連携した運営(交流等)、スポーツ大会等の受託、老朽化した設備等の計画的な改修

(2)熊本県ひばり園
 利用児とその保護者が地域で安心して暮らすことができよう、他機関と連携しながら次の取組により子育てを支援します。
熊本市から受託している東区の「児童発達支援センター等機能強化事業」により、他機関との連携強化を図りながら児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所等への支援等を通じて東区の地域療育体制の強化に貢献していきます。聴覚障害の(疑いの)ある乳幼児に対して、保健・医療・福祉・教育が連携して新生児から学童期まで切れ目のない支援ができるよう、熊本県と協議しながらその体制の実現を目指します。
・児童発達支援センター等機能強化事業、聴覚障害児中核機能支援事業、保育所等訪問支援事業、計画的な設備等の更新

(3)熊本県くすのき園
 利用者の高齢化や障がいの重度化への対応について検討を行います。また、施設・設備の老朽化対策として計画的な維持・修繕を行うとともに、将来の施設整備について検討します。就労継続支援B型事業については、い草を利用した自主製品の開発やSNSを活用した販路拡大を図るとともに、利用者の実態を踏まえながら工賃の向上が図られる作業を検討します。
・計画的な施設・設備等の維持・修繕、自主製品の開発と販売促進、将来の施設整備に向けた検討

(4)熊本県りんどう荘
 賃借の木造住宅3棟については、国県の補助金を活用して新たに整備することにより、入居者の安心・安全で快適な生活環境を実現します。また、現在の介護包括型から日中サービス支援型へ変更して、利用者の重度化に対応したサービスの充実を図ります。併せて、障がい者の地域生活を支援するために短期入所事業を開始します。
・新設に向けた計画の策定・実施

(5)熊本県身体障害者能力開発センター
 機能訓練事業を実施しているのは熊本県内に3事業所しかなく、入所支援施設で実施しているのは県内唯一となりました。その歴史は熊本県から身体障害者更生施設の管理・運営を受託した昭和58年まで遡ることができ、発足以来、県内の身体障がい者のリハビリテーションの中核を担い、訓練をとおして多くの人たちの社会復帰を支えてきましたが、近年は定員割れの状態が続いています。また、利用者の高齢化も進んでいることから、定員の空きを活用して介護保険事業(共生型サービス)を導入するのを手始めに、介護保険事業分野の事業開拓を検討します。さらに、生活環境の向上を図るとともに、機能訓練期間終了後の地域生活を支援することで利用者の退所後の不安を解消し、利用希望者の増加を図ります。そのために、居室の個室化を進めるとともに、地域生活の場としての選択肢の一つとしてグループホームの設置について検討を行います。
・共生型サービスの導入、居室の個室化等による生活環境の向上、ICTの活用によるサービスの向上及び業務の効率化、介護保険事業分野への参入検討

(6)熊本県社会福祉事業団相談支援事業所
 障がいのある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、様々な相談に応じ、必要な情報の提供、障害福祉サービスの利用支援等を行うほか、障害福祉サービス利用のための相談やサービス等利用計画の作成等を行うなど、極めて重要な役割を担っていますが、他の法人等の事業所も含めて経営は厳しい状況にあります。
 このような中にあって、事業団設立の精神(本旨)を受け継ぎ、地域福祉に貢献するために、加算の取得等による収入の確保を図りながら、事業が継続できるよう努めていきます。また、業務内容から職員のスキルアップの場として大変重要ですが、一方で職員の負担感は大きく、負担を軽減するためにICTの導入による負担の軽減を図ります。
・加算の取得等による収入の確保、タブレットやクラウド等ICTの導入